平成16年7月 製作Wendy21

NPOウエンディの事業概要

※ここでは、精神科に通う自分達の事を表す適切な他の表現を知らないので、精神障害者と記す。この呼び方が気になる方は、「精神科ユーザー」とか「精神病の当事者」とか「サバイバー」とか「心の病を持つ人」など、別の表記に置き換えて頂いて構わない。

【 事 業 の 趣 旨 】

 かつてジプシーと言われ差別を受けていた民族が、その独特の世界観を生かした芸術活動で、それなりの地位と権利を獲得していった事はご存知の方も多いと思う。
 精神障害者も、一般就労を控える必要があったり、そうでなくても社会的な差別のせいで普通に働くのが困難であったりする。しかし一風変わったと社会から思われている、この少数派の集団も、まったくの無能の輩では無い。
 ある者は音楽に秀で、ある者は専門の学問、またある者は仲間の心理を汲み取って適切なアドバイスを行う。一般の人と同じく、ある意味一般の人以上に、一部分の能力に秀でた者も少なくない。
 いくつかこの集団に特徴的に生かされた能力があるとされているが、その中で、
 1.芸術やその他の文化活動で想像力を発揮する分野(下表1.精神障害者による文化事業)
 2.病気の体験により得た、病者の心理を十分に理解する能力が必要とされる介護等の分野(下表2.精神障害者による福祉事業)。
 特に、この2点をウエンディは活動のスタート事業として掲げることにした。
 その能力が一般と比べて著しく劣っているとか秀でているとかは、現時点では判断できない。しかし、少なくとも上記2つの事業を、現にやりたい精神障害者が今揃っている、という事が、ウエンディが事業内容にこれを選んだ最大の理由である。
 精神障害者がやりたい事を、自らの手で実現していく。
 事業が成功するしないよりも、精神障害者が事業に挑んでいく過程で、自ら成長していく事を、この事業の最大の目的としたい。
 そして、その事業が良い作品を産み出したり、市民に有益であると評価される活動となることが目標でもある。自らの評判、自らの地位を自らの手で作り出していく事業にしたいのである。かつてジプシーが自らの芸の力で、全世界の人の見る目を変えていったように。

【1.精神障害者による文化事業】

@エンターテイメント出版 A社会貢献的出版 Bその他の文化活動
 マンガ、小説、エッセイなど、一般の人が娯楽として楽しめる作品を精神障害者がプロデュースする。  同じ病気で苦しむ仲間を救済する事を目的とした、体験手記、克服マニュアルなどを出版する。また仲間の回復や社会参加に役立つ情報誌なども出版する。  施設慰問などを当面は対象とするが、一般の人も楽しめるショーを精神障害者の手でプロデュースする。またそのショーを構成する過程としての技術向上の為の教室・サークル等も精神障害者自らの手で運営していく。

【2.精神障害者による福祉事業】


@ピア・ヘルパー・ステーション Aピア・作業所 Bピア・支援センター
 精神障害者であっても、家事やその他の援助が部分的にでも行える者は、その自分の得意な分野を特化して専門的に、一般ヘルパーと同じく業務に従事する。また、従来のヘルパー資格を取得し上記業務に従事する精神障害者のうち、特に専門の養成研修を受けた精神障害者は、ピア・ヘルパーと名乗り、同じ病気の人の介護に専門的に従事する。  精神障害者自らの運営で、作業を開拓したり、仲間の支援を行う。Bのピア・支援センターの地域出張所のような役割も担う。ピア支援の中核。  専門職に混じって、自らも障害のある仲間(ピア)が、職員となって仲間のサポートにあたる。主にピア・カウンセラー、ピア・サポーター、ピア・ヘルパーなどの業務にあたるが、事務職、管理職などにも適材適所に精神障害者を配する。


【事業にかかる経費・及び事業収益に関して】

 基本的にNPO法に基づいた経営を行い、必要な経費は会費や寄付、その他の正当な事業活動によって得ることとする。また収益もNPO法に基づいて、NPOウエンディの目的である「精神に障害のある方たちに対して、社会復帰・社会参加支援に関する事業を行い、もって福祉の増進に寄与する」ことに用いられるものとする。

以上(文責:米島)