カウンセリングのすすめ

第三回

今月は精神障害という現象を当事者の立場から考えてみました。精神分裂という僕自信の病気の経験や周囲の同病者の経験を元にしたもので、全ての精神障害者がこうだという事ではありませんが、こういう状況の人もいるのだと理解して接して頂けると嬉しいです。

Wendy21 米島健二

☆頭の回転が悪くなる
 折り紙の鶴が折れない。
 足を踏まれて、「痛い」と声が出るまでに三分くらいかかる。さらに3日くらいして怒りが込み上げてくる事もあるが、理由は忘れている事が多い。
 しばしば時間が飛ぶ(タイムスリップ)。ぼおーっとしてて気が付くと二時間くらい経っている事がある。
☆動作が鈍くなる
 野球してて守備位置について「さあ来い」と構えた頃にはチェンジになる。
☆反射的に行動してしまう
 誰かが走り出すと、つられて走り出す。考える前に、体が動き出す。
☆刺激に縛られる
 腰が痛い、足が痛い、歯が痛い、目が痛い。腕が痺れて気持ち良い。給食がまずい。朝食がおいしい。耳鳴りがする。音楽が楽しくてたまらない。テレビドラマやアニメのように自分の行動の背景に常にBGMが流れてくる。
暑い。寒い。その時その時の身体の感覚刺激に対して反応するのに精一杯で、複雑な思考は出来なくなる。
☆注意力が散漫になる
 バレーボールをたびたび顔面で受ける。視界の隅のほうでアカンベされても気づかない。信号機が赤で止まっていると、とっくに青になっていたりする。
☆短期的な記憶力が弱くなる
 ベッド脇の小さい机の引出しの中で、頻繁に物が無くなる。かと思えば忘れた頃に出てくる。それも衣装ケースの中とか靴入れの中など変な所から出てくる。
☆本が読めない
 頭の中で音読してしまう。何度読んでも音が気になって意味が伝わって来ない。漢字は難しい字も読める。だけど簡単な漢字が書けなくなる。
☆目に映る全ての事がメッセージ
 空が晴れても、雷が鳴っても、箸が転んでも、何か自分の運命と関連づけて考えてしまう。自分中心に世界が有り、森羅万象が神から自分へのメッセージであるかのように思う。
☆何だかとてもつらい
 掃除の時に食堂の椅子を全部テーブルに上げるという事が、はてしなく大変難儀な事に感じる。ホウキで隅々を掃くなんて気が遠くなる。健常者がテキパキと作業をこなす姿が神業のように見えてくる。
☆行動パターン
 ペンギン歩き。つま先歩き。うんこ座り。過食、拒食。念力、テレパシー。
 何故か二人で足踏みしながら立ち話ししてしまったりする。
☆思いに捕らわれる
 無口になったり極端におしゃべりになってみたりする。同じ話を何度もしてしまう。沈黙が怖い。一つの事が気になると、もうその事ばっかり考えてしまう。やがて幻聴、幻覚、妄想が出る。
☆自信喪失、不安感、対人恐怖
 世間が厳しく恐ろしく、自分をとても小さく感じる。何かしないといけないのだという焦燥感は強いが何も出来そうにない。家族や連れ合いにあたったり、それが出来ないと自殺を考えたりしてしまう。胸の奥を炎でジリジリ焼かれているような、じっとしていられない。歩き回る。でんぐり返しをする。
☆悲しいこと
 既婚者は離婚してしまったりする。未婚者は婚期を逸してしまったり。
 友人関係にヒビがいったり、親兄弟とも不和になったりする。
 理由は、障害時の異常行動によって信頼関係を無くした事による。精神病にかかったという事が最大理由だったりする事もある。