恋愛ファンタジー短編小説

とある国にそれは美しいお姫様がいらっしゃいました。
今年で17歳になる彼女は魅力的な異性に恋焦がれる年代です。
当のお姫様にも当然のごとく心密かに慕う男性がいました。
その男性はこの国に仕える騎士様で、騎士団長を務める者です。
部下からも信頼され、王宮にも多くの支援者がいる立派な御仁です。
ある日お姫様は思い切って騎士様に告白しました。
ぜひ私と結婚してください。と、求婚したのでした。
しかし騎士様からの返事は断りの言葉でした。
私は今こそ騎士団の長としての役職を持っていますが、元は平民出の田舎者です。
貴方とは身分が違います。とても結婚はできません。と、言うのです。
しかしそれでもお姫様は騎士様のことを諦め切れません。
ある日お姫様は騎士様をピクニックに誘いました。お供も大勢いたのでデートとはならないだろうと騎士様は思って承諾しました。
しかしその日のお姫様は普段とは別人でした。
いつもなら童顔でお子様ライズされているハズがこの日は大人っぽい派手な化粧をし、胸元の開いた服を着、それは短いスカートを履いてきていました。
誘惑されている。と、騎士様は思いました。
ピクニックの最中、お姫様のけなげなお色気作戦は次々と炸裂されました。
お弁当を皆で食べるときも騎士様の正面に座り、頻繁に前かがみになって胸元を強調したり、わざとらしく足を崩してそのういういしい太ももをチラチラと見せたりしました。
しかしそれでも騎士様の心は動きませんでした。
お姫様は連夜ベッドの中で悩みました。どうすれば騎士様が自分になびいてくれるのでしょう、と。
ある日お姫様は意を決して父であるこの国の王様に騎士様と結婚したい旨を伝えました。
はじめ王様はお姫様の申し出に反対していました。王様としては他国との同盟の為の政略結婚としてお姫様を使いたかったのでした。しかしお姫様の泣き出さんばかりの勢いに押されその意を汲むことにいたしました。
翌日王様は騎士様を王宮に呼ぶと、自分の娘であるお姫様と結婚してはくれまいか?と尋ねました。
騎士様はお姫様の時と同じ様に身分の違いを理由に丁重にお断りします。
しかし王様はお姫様の意思が固いことを告げ、どうかお受けしてもらえないだろうか?と頭を下げて頼みました。
王様に仕える身である騎士様にとって主君に頭を下げさせるなんて重罪ものです。
騎士様は即座にこの申し出を受けることを決意いたしました。
騎士様と結婚できることを王様より伝え聞いたお姫様は飛び跳ねるように喜びました。
それからというものお姫様は毎日のように騎士様との結婚生活をあれやこれやと空想するようになりました。
お姫様は幸せな気持ちでいっぱいでした。
そしてお姫様と騎士様は結婚いたしました。。
その初夜お姫様が騎士様と結ばれる時が来ました。
熱い口づけをしてベッドになだれ込む二人。
お姫様の興奮は最高潮に達していました。
しかし暫くするとどうも騎士様の様子がおかしくなりだしました。
ココをぶってと背中を差し出したとおもえばココを蹴ってとおしりを突き出したではありませんか。
お姫様は騎士様のその豹変ぶりにひどく困惑いたしました。
そんなお姫様をお構いなく騎士様の奇行ぶりはドンドンエスカレートしていきます。
今度はどこに隠してあったか?ムチを取り出してコレで叩いて欲しいとお姫様に頼みます。
叩いてくれないと泣いちゃうぞっと子供みたいに言うのです。
しかたなくお姫様が一度浴びせるとうぉぉお許し下さい女王様と叫ぶではありませんか?
そうです騎士様はSM愛好家なのでした。
百年の恋も覚めるとはこの事です。
お姫様は騎士様に対して失望感で一杯になりました。
しかし結婚してからたった一日で離婚するわけにもいかず数ヶ月お姫様は騎士様の異様な性癖につき合わせられるのでした。
そして数ヶ月後二人は離婚いたしました。
王の怒りを買った騎士様は騎士の称号を外されすごすごと田舎へと帰っていきます。
騎士様と別れたお姫様は王様に隣国の王子様との婚姻を望んでいることを伝えました。
これを聞いた王さまは喜び勇み早速隣国の王に書状を送ります。
話はトントン拍子に進み二国間の平和協定の代わりにお姫様は隣国へとお嫁にいきました。
此度結婚した隣国の王子様は妙な性癖もなくノーマルであるがどこか頼りなくなよっとしていました。
それでもお姫様は王子様を愛し王子様もお姫様を愛していました。
しかしお姫様は王子様とのソフトな夫婦関係に何か物足りなさを感じていました。
そんな折隣国の王は約束を破りお姫様の故郷である父の治める国へ攻め込みました。
激しい戦いの末お姫様の父が治める国は破れ隣国の属国となりました。
お姫様は約束が違うと夫である王子様や義父である隣国の王に怒りをぶつけました。
しかし隣国の王はお姫様の話に耳を傾けずまた王子様も知らん顔をしていました。
この戦で親兄弟を全て失ったお姫様は自室に引きこもり毎日泣き崩れました。
お姫様は誰も信じれない人間不信に陥っていました。
そんなある日国民の中から一人の指導者が出てきて国に対して軍事クーデターを起こしたという噂がお姫様の耳に届きました。
しょうすいしきったお姫様の心に一筋の希望の光が差し込んできました。
この過酷な運命から自分を救ってくれる人が現れたと思うのでした。
熾烈な戦いの結果クーデターを起こした側が勝利をおさめお姫様ははれて自由の身となりました。
その指導者と対面したお姫様は驚きました。
一度は契りを結んだあの騎士様であったからです。
騎士様は言いました。
あれから私は深く反省しました。もうあのような事は一切いたしませんのでどうかもう一度私と結婚してはいただけませんでしょうか?そしてこの国を一緒に治めてはくれませんか?
お姫様は騎士様の想いを受けることにいたしました。
そして再び二人が結ばれる時がやってきました。
騎士様は先の言葉通りSMプレイは一切いたしませんでした。お姫様をそれは大事に大事にしました。
しかし今度はお姫様の方が少々おかしくなってきました。
騎士様の背中やお尻を力いっぱい平手で叩いたとおもうとどこにしまっておいたかムチを取り出しそれでビシバシビシバシと叩き始めました。
「女王様とおよび!!」
「ああ、お許しください女王様!」
二人は末永く幸せに暮らしました。
二人の治めた国は二人の愛で包まれたすばらしい国になったと聞きます。

おわり。





                                                                                                                                                                                                                                                                                       


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