超未来小説 ツキノネコ
☆ ☆ ☆ 山野も渓谷も擦り切れた惑星。 恐ろしく低い空、青ずんだ静脈を無数に浮かべ、そのひび割れから泌み出る血液の中、包帯を巻いた鰯の群がぴくぴく跳ねている。老いても尚ぷくぷく肥り続ける太陽が、だるま型、湾曲してずぷずぷ渇いた海原沈んで行く。 ☆ ☆ ☆ 舞台はそこに唯一とびでた時計台。 夕空に屋根つきさしてかろうじて倒れまいとする『過ぎた時間の亡霊』。 ぶ厚い星霜、錆び付いた針の先から、終始ぽたぽた汚ならしく、余った時を垂らし続けている。 その亡霊の足に腰かけ頭から赤い汁を浴びながら、機械的、ロダンは丁度百億個目の小石に手を伸ばすところ。 ☆ ☆ ☆ ロダンは小石に語りかける。 「ずっとずっと長い闇をずうっと、捜し続けてきた。時の終焉まで再び帰ることの無い、『瞬間のもの』。恐らく一粒の鉱物の中に結晶している。この宇宙では何も彼もみるみる変貌して行くからな……」 そうやって実に真剣、ロダンは小石に接触を試みている。 すると、上空からいきなり意思が降ってくる。 「何捜してるの?」 ロダンは問われれば答える。 「遠い昔、失われたものを……」 「石コロしか無いよ?」 ようやくロダンの可視高度まで落っこちてきて、ツキノネコは不満たらたら烈しくどすん、堅い地面に接触する。 「石っころの中にこそ、全ては有る」とロダン。 ふむふむ感心しながら、ツキノネコはそのままごろごろロダンの足下転がり続ける。 ☆ ☆ ☆ 宇宙も末の最近、突然突如ゲツメンに於いて誕生し、目下目まぐるしい繁殖を続けている謎、ツキノネコ。 その流行の先端は、この血みどろ夕刻の惑星、目掛けて投身自殺すること。 |
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コネコに人気の理由は、放射能をふんだん浴びながらの燃焼、ふかふかで濃密な大気の中での完全燃焼、比較的速やかにそしてぞんぶん燃え尽きることが可能、で、それはとても美しい。し、しかも、もし仮に、進入角度を誤って燃え残っても、ツキの十万倍の重のエネルギーとごつごつ大地によって盛大火花微塵に叩き潰されるチャンスが残されており、これがまた、また、たまらなくとても美しい……。二重の魅力。 しかも、もしかしたら、万に一つ、兆に一つ、永遠に一度くらい、さらなる未知の美、可能性……。 そんな甘い期待、そそのかされて、夕刻この惑星の大気圏に降り注ぐ大小約七千万の隕石、流れ星の中、ほぼ七十七%を占めるのが、ツキノネコの死体。大概燃えて光ってコンマ七秒くらい、すぐ消えて、目にも留まらない。 |
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☆ ☆ ☆ 「ニャー」 「邪魔だ」 更にそれと、もう一つ、硬度を測定するという名目の下、ロダンはツキノネコを再度蹴飛ばす。それはかなり軟らかく、強い重力の中でもよく弾む。 「わーい」 ツキノネコの毛は桃色に光っており、いたずらな瞳は溶けたサファイアのようで濡れていた。きらきらさせながら起立してぴんと立てた尻尾を一ロ自分でもなめてから、そっとロダンに差し出す。 「遊ぼう」 その大理石のように白い尻尾。ロダンは思わず石コロを奪われそうになる。が、他のあらゆる点の分析結果が極めて陰性、つまりそれはそれが彼の鉱物で無いことを意味している。 「痛い」 ネコは悲鳴をあげる。ロダンの美しい鎖状歯形が尾に巻きついている。 「やっぱり生き物か、それもまだこども」 がっくり、三回唾をはいてロダンは小石を撫でる。 「ひどいなぁ」 ネコは身に纏った唯一無ニなる三角オーロラ片をひらひらさせ、四方八方それから頬も桃色に染める。 「生物は腐りやすく、特にこどもは甘すぎて、強く噛めばぷちゅっと汁が飛び散るし、ぐぢゅぐぢゅしてて嫌い」 「キレイ?」 「そう…それに比ぺてこの石コロの奇麗なことよ」 「どれどれ?」 「気安く石に触るな」 小石に頬ずるロダン。 「これらのうち、どれか一粒くらい、この宇宙の謎を知っており、疑問に答えてくれる石があるはずだ」 「ニャー」 「こどもにはわからんものよ」 「宇宙なら見た」 ロダンの周り、ぐるぐる衛星軌道しながら、ツキノネコは身振り得意気だった。 「この星が三回転もする間ずっと」 「ふふん」ロダンは極めて久しぶり、鼻で笑う。 「時にして僅かたったの五十五万九干二百秒。その二千三百ニ十一倍強もの数だけ世紀を、ずっと宇宙を見て週ごしたのがこのロダンだ」 「ニャー」 ロダンは頭上の時計台を指差す。 ネコの目にはただ血まみれの低い夕空。 「ずいぶんだね」 寂しくうなだれるロダン。 ☆ ☆ ☆ 丸い地平線の岩石どもは巨大夕日にあぶられて、紫色に腫れあがり、そしてその輪郭あたりからようよう黒く凝固してゆき、やがて一面、生渇きのかさぶたで覆われてゆく。 「ニャー」 「夜だよ」 ただれた闇の中、ツキノネコの桃色の毛だけが不安な光を放って揺れていた。 「冷たい」 事実、ロダンの体温は常に極めて低く調整されている。 それは高圧下でやたら分子が暴れて擦り減ってしまうことに対しての、彼の切ない反抗に起因しており、専ら諸物質を凍りつかせた。 がそれでも、ネコはロダンに寄り添って、ごろごろ気持よさそうにする。 「ニャー」 「困った。こどもはすぐなつく」 と、考えるロダンの頭を支えている彼の利腕をすかっとはずし、ちょこんとその膝上に乗っかり、ネコは更にもっと居心地良くしようとじたばたした。 「こらここで死ぬな」 生き物だからとて、たとえそれがこどもだからとて、容赦せぬロダン。ツキノネコはふたたび堅い大地と接触した。 「ニャー。何をする」 ロダンは間われれば答える。 「今を遡る約一干億年昔……幾世代か前のこの太陽系のこの位置を回る惑星で生産された」 「ニャー」 「星はやがて塵に帰り塵はやがて再び星に変わる。遙か昔、宇宙が爆発してまだ膨脹している頃」 「ニャー」 「ちなみに当時の臆脹率たるや平均四・五光年につき毎秒三百キロ、まさに宇宙。夢の如く果てし無いものと信じられていた大昔のこと。工場で作られた」 「ニャー」 「量産された」 「ニャー」 「無数に作り続けられた」 「ニャー」 「工場では彼等が永遠と呼んだ機械がただ一台、黙々と作り続けていた」 「ロダン」 夜がその重たい尻を、ツキノネコにぶしつける。 めりめり音がしていた。それでも桃色の毛の輝きが丸くりんりんとして、包み込むのでツキノネコはまだ多少いくらかなら、息することも可能だった。 もっとも、この惑星の大気はツキノネコにとって、もっとも有害な成分から構成されており、ましてネコが生存するうえで必要不可欠の『新鮮な真空』が、この宇宙からはしだいに失われているのが現状である。 「夥しい量のロダンが廃墟の戦場へ飛ばされた」 「ニャー」 「ロダンはロダンと戦う」 低いうなりを発しながら、うっとり目を閑じて、ツキノネコは聞いていた。 ネコの美しい瞳、強酸性の砂塵によって侵されたサファイアの瞳、もうふたたび光らないことを知る。 ロダンは続ける。 「工場の機械は戦場の残骸を回収し、更にロダンを作る為のまた自分の揮り切れた部品の補充のかすがいにした。凡そ完璧なる自己脩復機能をその機械は傭えていた。その機械もまたロダン。」 「……」 「そして、果てし無い同じことの綬り返し。創造と消耗。でもそうやつて何万回、ロダンを作り続けるうち、一回くらい不良の部品を使ったり、おかげで操作を誤ったりすることもある。機械はそういったミスをさらに修復する為、別のタイプを開発する。その……何億回に一度か、気の遠くなる修復と改良の繰り返しが、少しづつ進化させた。そしていつとも知れない。ふと気がつくとある時、感情を覚える」 「……」 「それはやがて、意志に固まる」 「……」 「初めはただ漠然と、何故? 戦うのか」 「……」 「都市へ導く」 「……」 「彼等の寿命はとうに尽きていた、が都市はまだ生きていた。工場のより数段容量のいい頭脳がそこを管理していたから。そこで、彼等の記憶と出会う。滅びた生物の無数の寂しい記憶」 ロダンは思い出して、含み笑いする。 「餓死したらしい」 その意味もまだ知らず、くちびるかんで、ネコも笑った。 「ニャ」 「宇宙へ飛びたつ。その惑星の地学的寿命も何故か酷く短かったから」 暗闇の中で、微かに、桃色のネコの声はとぎれとぎれ苦しまぎれの光を、ちかちかさせていた。 「さまざまに形を変えながら、ロダンはあてもなくさまよい続ける。安住するにはどこもあまりに移ろいやすく、ましてまだ宇宙は広かった。一時期はロダンが多くの星を支配する社会だった。それまで単にDNAに過ぎなかったロダンの記憶、何億もの滅びた彼等の記憶、形にしてよく見たかった。するとロダンの細胞の一つ一つが意思を持って拡がり始め、分裂を繰り返し、失われた彼等の文明を再現していった。そしてロダンは宇宙をどこまでも拡がっていったが、拡がる宇宙はやがて力尽き、自らの巨大さに引かれて縮みはじめる。初め穏やかに、そして急速に。ロダンの小宇宙の中でも、創造以上に破壊が繰り返され、老いが始まる。そして廃墟に一人ぽつねん、個に帰るロダン。後はもう、じっと石のように考え続ける。その実に数百億年を費やして、ようやく理解し得たそれはつまり何て云うのか……」 「!?」 闇。数種の硬い鉱物以外は微塵に圧し漬す、この惑星の重い夜の聞。真の暗闇の底で、ツキノネコは、もう、うんともすんとも、疑閤符の形に身をよじらせたっきり勤かなかった。 「それから何度も宇宙を放浪。ありとあらゆる生命と出会い、接触を試みる。そして絶望。そして絶望。空しい繰り返し。いつだって同じことの繰り返し。繰り返し。彼等は何だったのか? いやロダンこそ一体何モノ。いくら問うても捜しても、答えは無い」 「……」 「宇宙は永遠の謎。背理と矛盾の水飴。掻き混ぜれば、まずまず白く濁って見えなくなる。命。生命ってのは。全く呆れるほど不揃いで軟弱で概して水っぼい泡粒。あぁ触れたかと思えば、たちまちばちぱち壊れて消える」 夜は黒の密度を増してゆく。ロダンの目に、しばらくぼうっとしていた水色の光、桃色のネコの反転残像も、だからすぐに消えてなくなった。 ★ ★ ★ 頂点をむかえた夜の重圧、耐えきれず、厚い雲と大気の層が地平線どろどろ淀み始める頃。或いはツキの潮汐力による影響か、暗黒の天空中央にぼっかり穴が開く。 その穴を押し広げ、末期の宇宙が痛々しい程に青白い顔で夜の底を覗き込む。 隙間無く埋め尽くされた星空。眩しい程に青くはれわたり、さながら秋の日の打ち上げ花火のように、華々しい音をたてて超新星が臨終ま白い火の粉を撒き散らす。青い顔にそれは寂しい死化粧。 約四百億年前、既に天の川宇宙を含む7万弱の星雲団は乙女座銀河集団を中心にして交わり始めていた。大きなものは大きなものに、小さなものも大きなものに惹かれる傾向があり、いまや、この辺りの宇宙は肥大の後硬化して鬱血する静脈瘤の壮麗なる超銀河を形成している。 この惑星がはたしてその中心に在るのかどうかまではロダンにも判別つきかねたが、明らかに宇宙は収縮しており、見かけ上はどの恒星も星雲もまっしぐらこの地上に向けて、転落している。たわわな枝、真っ赤に熟した赤色巨星を鈴なりにぶら下げて、いまにも朽ち倒れそうな老並木……舞い散る落ち葉は川面を埋め尽くし、それもいたるところ虫の食った枯葉星雲。激しく渦巻く木枯らしに震えている。 すぐ闇近に宇宙の果て、背景副射がドップラー効果に青くなつて燃えながら迫る。その向うへは、もはや光すら脱け出せない。宇宙創造以来、あらゆる時間あらゆる瞬闇に放たれた光がその狭まる中をエコーして飛びかい、何れか現か幻か、もはや定かでない。遠い過去と現在と近い将来が錯綜して形成した河の流れ、ゆらゆら揺らめき漂いながら、終末宇宙乾せる海へと急速に吸い込まれていく。 ★ ★ ★ ロダンはふたたび小石に接触を求める為、しゃがんで手頃なの見繕う。が、思い直して立ち上り、おもいきり顔面めがけてぶん投げる。河面ぱちゃんと飛沫が飛んだ。 ★ ★ ★ ロダンの胸の中には、固く握りしめた彼のこぶしほどの容積の真空が存在している。そこに組み込むべきいかなる装置も、とうとう完成せぬままだったからなのだが、奇妙な符合である。彼の理論と計算によれば、この字宙、最終的にぼぼそれと等しい大きさにまで収縮する。 更に、あらゆる素粒子がそこまで極眼に接着すると、もはや色も匂いもその他のいかなる性質、自体の熱量や質量すら一切保てなくなり、いわゆる原始の混沌とした唯一の単一状態、つまり〔虚無〕に掃るもの、と思われるのだ。 ☆ ☆ ☆ 「ロダン?」 ツキの明かりの下、僅かの間に見違える程、こどもは成長する。 「見つけたよ?」 間われたが、ロダンは答えることができない。 「見つけたよ?」 ふわりふわり舞いながら、ツキノネコは笑った。 「ニャー」 瞬間とその次の瞬聞ごとに、ツキノネコはより美しく変化して輝いた。 なんだか、訳もわからず、ロダンは胸に不安を覚える。 「ニャー」 磁気単極子か何か超重素粒子、多分いまだ宇宙を飛び続ける創世大爆発の遣物の類の一つが、胸壁を貫通した為か、とロダンは憶測する。焦りで痛い。 「ロダン」 この世のものとも思えぬ美しさ、ロダンに接近する。 「ニャー」 ネコの背後から包み込むように、今は亡き巨大な衛星が桃色の姿を現した。 「手を出して」 ロダンは、ただやみくもに首を撮る。が、それでも光は飛ぴ込んでくる。 真空の中に於ける虚無の揺らぎ、そこに生ずる何かエネルギーめいたもの、に聞して……むりやりロダンは、考察を進めながら、自らはじりじりと後退を始める。 胸の中で今、虚無はふつふつ煮えたぎる。 「あげるよ。ロダン」 生物学的に見れぱおよそ桁はずれの明るさと引力が、すぐ目の前、ロダンは観測している。 「これが探していた石ころなんだよ」 逆らう術も無く、恐る恐る、とうとうロダンはツキノネコに手を伸ばす。 「ニャー」 と、ツキのネコがまぶたを開じるのと、同時、ロダンの肩の辺りから真白い蒸気が噴き出すのと、同時、地平線からふたたび立ち昇り始めた黒雲によって、おもわず宇宙も動じた顔を覆った。 |
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☆ ☆ ☆ 或いはそれは、たった今すごしたばかりの『瞬間』のかけら、かも知れない。ツキノネコを強く掴んだまま、空っぽのはずのロダンの胸奥で、その一粒、ごく小さな何か重たく硬い多角形仮想粒子が、超合金の内壁をぎりぎり引っ掻き、傷つけている。 夜明けとともに、ロダンは小石を蹴っ飛ばす。 なぜならネコも、もはや、自ら輝けない、黄金の朝日を反射するだけ、ツキのかけらで小石と何ら変わりなかった。 手を雄したその瞬闇、昇華し、手の平に乗るくらい小さくて透明の膜に吸収された。丸い玉。 いまにも破裂寸前のぱんぱんに張りきった老太賜が、朝方ほんの束の間やわらかく暖かい光で、それを桃色に輝かせていた。ふわふわまるで重力を無視した軽やかさで、くるくる独楽回転しながら、すいすい時計台の屋根まで飛んだ。 |
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その先を追うのをやめて、ロダンはしゃがんで何やか考えこむ。 「いつだったか、旅の途中、どこだったか、とある星、植物なのか鉱物なのか、見たあれは、百回転が七日、ゆるりゆるりと六角形の結晶の、枝を伸ぱし葉を広げ、真赤な鉱物の花を三輪、咲かせた。それでもたかだか一年草」 「ところで今胸の中の真空で虚無が重たく凝縮している。明らかに鉱物めいた何かの種子が、そこに結晶し始めている。果てし無く重くなり、熱くなり、ほうっておいたらやがて爆発し、新たに宇宙をも創造しかねぬ」 意を決して、ロダンは自分の胸に手を触れる。 「宇宙も、もう冬だというのに」 以後決して、ふたたびニ度と、ロダンは動かない。 またロダンに問う何ものももう無いのだった。 |
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●クエーサー(準星)のスペクトルと宇宙の収縮● |
数十億年以上も昔にある波長で放射された光が、長い旅路の間に、宇宙の収縮によってどれだけ押し縮められたか(くたびれたか)を示した図である。太い斜めの線は、水素(ライマン・アルファ)、炭素W、炭素V、マグネシウムU、水素(バルマー・ガンマ)が放つ幅射に対応している.青方偏移Zが1のところでは、ヲイマン・アルファ繰は648オングストロームに、Zが2では約405オンゲストロームのところに観測される。このようにZが2の場合、波長は3分の1に縮められている。1十Zは、フォトンを放出してから観測されるまでに宇宙がどれだけ収縮したかを示している.PHL957からのフォトンは、字宙が現在の年齢の0.3%しか経遇していなかった時に出発したものである。 (PPAM3-05-07) |
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廃嘘の惑星で 内部に謙虚な 空虚の穿った ブロンズの虚像 しかるのち盛大に 全宇宙との接触に 成功するだろう 【おわり】 |
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既に何百優年昔に滅びた星である.この惑星を特徴づけているのは、崩壊した物質の質量に比例するような半径の因果の地平と呼ばれる球面である。(光も物質もひとたびその内側に入ったものは決して脱出することができないはかりでなく、外側からそれを観測することもできないという因果の伝わり方が一方向きであるような面である。) | 上の図には色々な点からのツキノネコが伝播する球面の波面(小さな円)を描いてある(大きな円の中央はロダン).ロダンに近い点から放たれたネコほど波面はロダンの方にずれてくる。そして因果の地平上の点から放たれたネコの波面は地平の内側に接したまま絶対に逃れる事がない。ロダンの内部で放たれたネコは決して脱出することができず.中心の特異点に向かって進んでいくしかない。 |
1983.11.20 同人誌「夢幻灯影」で発表した作品「Co Ha Ru」のリメーク。イラスト、図も作者。